【アジア株・アセアン株個別銘柄紹介】サイアム商業銀行(SCB:タイ)
こんにちはmokomoko3です。今回はアジア・アセアン株の売買ランキングで常に上位に顔を出す、
サイアム商業銀行(SCB:タイ)の銘柄紹介を行っていきたいと思います。
なお、サイアム銀行は総資産額でタイ国内2位の企業となっています。1位のバンコク銀行 に関しては過去記事でまとめていますので、ぜひご覧ください!
過去記事:【アジア株・アセアン株個別銘柄紹介】バンコク銀行(BBL:タイ)
会社概要
【1.1 サイアム商業銀行組織概要】 |
サイアム商業銀行の設立は、1904年の"Book Club"にさかのぼります。 当時タイの国王であったラーマ5世の兄弟
であるMahisara Rajaharudaya(H.R.H. Prince Mahisorn)王子が、タイの経済発展のためには国立銀行の設立が欠かせないと判断。試験的な取り組みとして"Book Club"と呼ばれる小規模な商業銀行を設立し、運営を開始します。
その後、"Book Club"の活発な取引を受け、1907年にラーマ5世(H.M. King Rama V)は正式な銀行の設立を認可。タイの官報(Royal Gazette)で国王令が公布され、サイアム銀行はタイで初めての本格的な商業銀行として営業を開始しました.
事業内容
【1.2 サイアム商業銀行セグメント別業績】 |
リテール分野に強く、「リテール&ウェ
ルネス事業」が収入の54%を占めていま
す。
法人向け業務は「多国籍企業・法人事
業」が収入の20%を占めており、
14%を「中小企業事業」が占めています。残る12%はエクイティー投資事業や子会社、関連会社からの収益となっています。
業績推移
【2.1 サイアム商業銀行業績推移】 |
をみていきます。サイアム商業銀行の
2017年度の業績は、売上にあたる業務粗
利益が136212 million Baht(1 Baht≒
3.4円なので約4704億円)、純利益が
43152 million Baht(≒14990億円)、
EPSが12.69 Baht(≒43.8円)となって
います。
13年度の業績は、業務粗利益が123532 million Baht(≒4266億円)、純利益が50233 milloion Baht(≒1734億円)、
EPSが14.78 Baht(≒51.0円)となっています。
直近5年間の業績を比較すると、業務粗利益が10.2%の増収、純利益が14.0%の減益、EPSは14.1%のマイナスとなっています。
今後の業績について
【2.2 サイアム商業銀行ローン資産推移】 |
タイの政治リスクに左右されそうです。
サイアム商業銀行のローン資産残高は、
中小企業事業部門が横ばいとなっている
ものの、リテール部門を中心として安定し
た拡大を続けています。
しかし、2014年に発生したクーデターを契機に、景気が一時失速。不良債権額が13年度比で64%増の65.6 billion Baht
(≒2264億円)に急増しています。
【2.3 サイアム商業銀行不良債権推移】 |
こうした不良債権の急増に併せて貸倒引当金を積み増したため、サイアム商業銀行は13年度比で増収となったにもかかわらず、最終減益という結果に終わっています。
2017年の決算をみる限り、既に十分に貸倒引当金を積み増しているので今後の業績は回復していきそうです。もっとも、タイでは19年2月に総選挙を控えており、場合によってはデモやクーデターが発生する可
能性があります。仮にデモやクーデターが発生した場合、空港や港湾の使用制限で経済が混乱し、不良債権が増加する恐れがあります。今後のタイの政治リスクに注意が必要です。
配当推移
【3.1 サイアム商業銀行配当推移】 |
きます。サイアム商業銀行の2017年度の
配当額は5.5 Baht(≒18.9円)、配当性
向は39.3%となっています。クーデター
の影響で2015年以降の業績は悪化してい
ますが、配当額はほぼ安定した推移を見せています。直近5年で比較すると、13年度の配当額5.25 Baht(≒18.1円)に対し、0.25 Bahtの増配となっています。
今後の配当について
サイアム商業銀行は配当性向の目標値を30%~50%と定めており、株主への長期的な利益を重視するとコメントしています。今後の業績はタイの政治リスクに依る部分が大きい
ため不透明ですが、配当性向にまだ余力があるため、なんらかのリスクが顕在化しても減
配の可能性は少ないと思います。むしろ、貸倒引当金の積み増しも十分に行えているの
で、1~2年後には増配も期待できそうです。
株価推移
【3.1 サイアム商業銀行株価推移】 |
みていきます。サイアム商業銀行の株価は
2018年4月12日時点で141 Baht(≒486円)となっています。
2014年のクーデターの影響で2015年の決算が減益となったことから、株価は下落基調にあります。
2017年から18年にかけてクーデター前の利益水準に戻りつつあるものの、14年につけた最高値(196.5 Baht)の 半値戻しもできていない状況です。なお、株式指標はPERが11.1倍、PBRが1.3倍、配当利回りが3.89%となっており、割安感が出ています。政治リスクに懸念が残りますが、余裕資金で投資したい所です。
まとめ
サイアム商業銀行は商業銀行として歴史が古く、タイで国内2位の規模を誇る銀行でもあります。歴史的な経緯からリテール事業に強みを持ち、収益の半分を占めています。
しかしそれだけデモやクーデターによる景気減速の影響を受けやすいとも言えます。貸倒
引当金を十分に積み増しているため、今後の業績は回復していくと考えられ、株式指標に
割安感もあることから余裕資金で投資したい所です。なお、タイでは19年2月に総選挙を
控えておりデモやクーデターに注意が必要です。
【おすすめ度☆4つ:余裕資金があれば打診買いで投資したい】
一口コメント:19年2月に控える総選挙時のデモやクーデターに注意!
現在の業績★★★☆☆
将来業績 ★★★★☆
業績安定度★★★★☆
株式指標 ★★★★★
配当利回り★★★☆☆
☆5つ…積極的に投資したい
☆4つ…余裕資金があれば打診買いで投資したい
☆3つ…株価が下落(5%~20%)すれば投資を検討したい
☆2つ…株価が大幅下落(20%~30%)すれば投資を検討したい
☆1つ…構造的な変化が起きない限り投資は見送ったほうがよい
以上、ご参考にしていただければ幸いです!
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